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進める基礎をつくっていった。たとえば住宅政策は、人口危機への対策としても、また労働市場における需要喚起の重要な手段としても実施されていった。

 

1930年代、改良に向けての夥しい調査書が提出されたにもかかわらず、第二次大戦の勃発が実施を阻止し、具体的な施行は第二次大戦後に持ち越されることになったのである。しかしながら、生活の安全を保障する社会政策の必要性が確認され、医療保険、失業保険、国民年金などの社会保険制度の基礎的な形成が行なわれたといえる。失業保険は1934年に制定され、同時にまた手当金給付よりも就労権保障という積極的労働市場政策の基盤がつくられたといえよう。

 

スウェーデンの社会政策はこの時期、たんにそれを必要とする人たちのみを対象とする選別的な性格を捨てて、貧困の解消のための経済発展と、労働者階級の生活条件改善のための階級間の分配手段として定義づけられていったことが指摘される。つまり、このことは普遍的な社会政策モデルヘの移行を意味したのであった。

 

 

 

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